4つの温泉水含有成分の生体作用

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9種類の療養泉のおさらい

今回は温泉の含有成分の具体的な生体作用についてお話させていただきたいと思います。

医学的に治療効果のある温泉水を療養泉と呼ぶことは2回にわたってご説明させていただきました。

9種類の療養泉の効能 — 二酸化炭素泉/炭酸水素塩泉/塩化物泉
https://onsendr.com/2019/05/06/tansan-juso-syokuen/

9種類の療養泉の効能 — 硫酸塩泉/鉄泉/硫黄泉/酸性泉/放射能泉/単純温泉
https://onsendr.com/2019/05/07/onsen-kono/

療養泉はその主成分により大きく以下の9種類に分けられます。

・二酸化炭素泉(炭酸泉)
・炭酸水素塩泉(重曹泉・重炭酸土類泉)
・塩化物泉(食塩泉)
・硫酸塩泉(石膏泉・芒硝泉・苦味泉)
・鉄泉(含鉄・銅泉)
・硫黄泉(硫化水素泉)
・酸性泉(明ばん泉)
・放射線泉
・単純泉

泉温・含有成分の質・組成・量などからみて、薬理学的に医治効果が期待される温泉で、泉水中の含有成分の基準値が決められています。

その療養泉の代表的な生体作用のある4つの含有成分は、以下の通りです。

・ナトリウム塩化物(NaCl)
・二酸化炭素(炭酸泉 CO2)
・硫黄(硫化水素泉 H2S)
・放射能(ラドン泉 α線)

一般的に、炭酸水素泉やアルカリ単純泉のような優しい温泉は免疫機能アップ、
酸性泉や硫黄泉のような激しいお湯は免疫機能抑制と考えられます。

概要

9種類の療養泉のおさらい

目次
      1. ナトリウム塩化物泉 (NaCl)について
      2. 二酸化炭素泉 (炭酸泉 CO2)について
      3. 硫黄泉 (硫化水素泉 H2S)について
      4. 放射能泉 (ラドン泉 α線)について

ナトリウム塩化物泉 (NaCl)について

皮膚の浸透圧を変化させます。漬物のように、塩分により余分な水分が抜け、浮腫、むくみをとる効果があります。

塩化ナトリウムが皮膚の表面に膜を作って保温効果を持つのと、末梢血管が拡張され、血流が増加するので、お風呂から上がってからでも体がずっと温かく感じると思います。

また、筋紡錘という器官に作用して、筋肉の緊張をほぐす効果もあります。

二酸化炭素泉 (炭酸泉 CO2)について

炭酸イオンは体内に溶け込んで血管内皮細胞に作用して末梢血管を広げるので、抵抗が下がり血圧を下げる効果があります。冷え性にも効果的です。

硫黄泉 (硫化水素泉 H2S)について

硫黄泉も炭酸泉と同様に、末梢血管拡張と血流増加を促し、血圧を下げる効果があるので、高血圧に効きます。

また、皮膚ランゲルハンス細胞機能を抑制し、免疫機能を調整する作用もあります。

(ランゲルハンス細胞とは、免疫細胞のことです。)

硫酸イオンはヒアルロン酸分解酵素を刺激し、コラーゲンにも作用するので、体が柔らかくなる効果があり、温泉の中で柔軟体操をするのもおすすめです。

放射能泉 (ラドン泉 α線)について

末梢循環を増加させ、鎮痛効果、痛覚神経の閾値を上げて痛みを感じにくくする効果があります。

微量で全身作用のあるホルミシス効果(放射線被ばく)により、硫化水素も該当しますが、体に害があるものをほんのわずかに浴びることでDNA合成を抑制し、また、DNAは損傷されることになるので修復酵素が働き出し、機能の活性化につながります。

※効能は万人に対してその効果を保証するものではありません。

以上、今回は薬理学的に医治効果が期待される温泉の4つの含有成分の生体作用についてご説明致しました。

これからも、温泉療法医としての目線で、健康づくりに役立つ様々な温泉医学情報をご紹介していきたいと思います。

セルフメディケーションの時代、ぜひ、日常にお役立ていただけましたら幸いです。

本日はご訪問・ご拝読頂き、誠にありがとうございました。

今後とも、よろしくお願い致します。

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