9種類の療養泉の効能 — 二酸化炭素泉/炭酸水素塩泉/塩化物泉

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ラムネ温泉 建物外観
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日本の温泉は大きく9タイプの泉質に分類できる

今回は3つのタイプの温泉の具体的な効能についてお話させていただきたいと思います。

医学的に治療効果のある温泉水を療養泉ということは前回もご説明させていただきました。

療養泉はその主成分により大きく以下の9種類に分けられます。

・二酸化炭素泉(通称炭酸泉)
・炭酸水素塩泉(重曹泉など)
・塩化物泉(食塩泉が代表)
・硫酸塩泉
・鉄泉
・硫黄泉
・酸性泉
・放射線泉
・単純泉

泉温・含有成分の質・組成・量などからみて、薬理学的に医治効果が期待される温泉で、泉水中の含有成分の基準値が決められています。

具体的な4つの温泉水含有成分の生体作用は、薬理学的に以下のようにされています。

▼ナトリウム塩化物泉 (NaCl)

 1. 皮膚の浸透圧を変化
 2. 末梢血管拡張と血流増加
 3. 中核体温上昇と保温効果
 4. 筋弛緩作用
 5. 紫外線感受性を高める
 6. 殺菌作用

▼二酸化炭素泉 (炭酸泉 CO2)

 1. 末梢血管拡張と血流増加
 2. 血圧降下作用
 3. 冷受容器のまひと熱受容容器の興奮
 4. 基礎代謝低下

▼硫黄泉 (硫化水素泉 H2S)

 1. 末梢血管拡張と血流増加
 2. 皮膚組織での酵素代謝に影響
 3. 皮膚ランゲルハンス細胞機能抑制
 4. 結合組織へのSの取り込み
 5. ヒアルロン酸分解酵素への刺激

▼放射能泉 (ラドン泉 α線)

 1. 末梢循環の増加
 2. 鎮痛効果
 3. 尿酸排出の増加(飲泉時)
 4. ホルミシス効果(微量で全身作用)
 5. DNA合成抑制とDNA修復

日本では、国に定められた温泉法によって「温泉分析表」を掲示することが義務づけられているので、その温泉が9タイプの泉質のうちどれに分類されるのか必ず明示されているはずです。

そして、そのある温泉の含有成分が温泉法に定められた規定量に満たない場合は、源泉での泉温が34℃以上あれば、単純温泉として、療養泉の1つに数えられることになっています。

こちらに詳細をご解説していますので、もしよろしければご覧ください。

4つの温泉水含有成分の生体作用

4つの温泉水含有成分の生体作用

概要

日本の温泉は大きく9タイプの泉質に分類できる

目次
      1. 二酸化炭素泉の効能(炭酸泉)
      2. 炭酸水素塩泉の効能(重曹泉・重炭酸土類泉)
      3. 塩化物泉の効能(食塩泉)

二酸化炭素泉の効能(炭酸泉)

二酸化炭素泉は、炭酸ガスの小気泡が肌につく泡の湯で、低温ですが保温効果は強いです。

症状

高血圧症/動脈硬化症/運動まひ/筋・関節痛/打撲/切り傷/冷え性/更年期障害/不妊症

入浴と飲泉

慢性消化器疾患、慢性便秘症によい。下痢の時の飲泉は禁忌です。

炭酸水素塩泉の効能(重曹泉・重炭酸土類泉)

肌が滑らかになる冷の湯で、浴後清涼感があります。

入浴と飲泉

痛風/糖尿病/肝疾患/胆石/慢性胆のう炎/慢性消化器疾患など。

高血圧症・腎疾患は重曹泉の飲泉は禁忌。

他、筋・関節痛/打撲/切り傷/慢性皮膚疾患などにもよいです。

塩化物泉の効能(食塩泉)

高齢者向きでよく温まる熱の湯です。

症状

筋・関節痛/打撲/ねんざ/冷え性/慢性婦人疾患/月経障害/不妊症/病後回復

入浴と飲泉

貧血症/慢性消化器疾患/慢性便秘症

高血圧症・腎疾患・心疾患・むくみのあるときの飲泉は禁忌です。

※注意:効能は万人に対してその効果を保証するものではありません。

以上、今回は9つの泉質タイプのうち、3種類についてご説明致しました。
4つの温泉水含有成分の生体作用の詳細については、後日、また記載させていただきます。

これからも、温泉療法医としての目線で、健康づくりに役立つ様々な温泉医学情報をご紹介していきたいと思います。

セルフメディケーションの時代、ぜひ、日常にお役立ていただけましたら幸いです。

本日はご訪問・ご拝読頂き、誠にありがとうございました。

今後とも、よろしくお願い致します。

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