HSP入浴法研究者、医学博士・伊藤要子先生
伊藤先生を拝見していると、この温泉ブログなんてまだひよっこ…。
卵から生まれたてのピヨピヨです。
今回も最近あった学会のお話の続きです。
ヒートショックプロテインの研究者、伊藤先生がバスクリンと共同研究した発表をご紹介したいと思います。
今回の発表では、『週2回のHSP入浴3週間継続によるHSP70の発言と身体に及ぼす影響』1)と題して、HSP入浴法の有用性をデータ面から証明された研究報告をされていました。
HSP入浴の習慣化は身体のみでなく、生活の危険や精神的疲労の軽減等QOLの向上に有効と思われた。1)
以下、伊藤先生がおっしゃっているHSP入浴法による効果一覧です。
健康なタンパク質が健康を支える2)
HSPこそが病気やストレスで傷ついたタンパク質を健康にしてくれる。HSPは、人が健康になる事を体の中からサポートしてくれる。
・日常生活での疲れを軽減
・ここ一番で活躍したいときに力を発揮
・病気の予防、回復をサポート
・ストレス潰瘍を防ぐ
・炎症を防ぐ
・鬱の治療、予防
・癌治療、癌予防
・寿命を延長
・その他にもいっぱい!
一般的に、温泉の効果は研究者が内容を必ずしもデータ計測したわけではなく、観察や経験によって判断されているものが多くあるのが現状です。
特に日本では、数多くの素晴らしい温泉があるにもかかわらず、ヨーロッパよりも科学的裏付けに乏しいのです。温泉療法の先進国は残念ながら温泉大国日本ではありません。
そのことを、伊藤先生も憂いていらっしゃるのですが、さすが研究歴30年、蓄積が違います。
女性であることもあり、最近でも美容雑誌に掲載されていて、美肌づくりのジャンルでもご好評なようです。
【美人は『42℃』がキーワード】HSP入浴と洗顔で体の中からキレイになる!
https://i-voce.jp/feed/8923/
2018.02.17 VOCE
温泉博士以前に、入浴博士がいらっしゃるという実例です。
日本のお風呂文化はHSP入浴法を実践するのにぴったりな環境であることもご感想として述べられており、頼もしい限りです。
概要
HSP入浴法研究者、医学博士・伊藤要子先生
目次
HSP=熱ショックプロテインとは?
Heat Shock Protein、熱ショックプロテインとは、細胞が熱等のストレス条件下にさらされた際に発現が上昇して細胞を保護するタンパク質の一群であり、分子シャペロンとして機能する。ストレスタンパク質(英: Stress Protein)とも呼ばれる。3)
HSPは熱ストレスで発現するタンパク質で、変性したタンパク質を治したり取り除いたりする。温泉の効果の一つにHSPの発現があると言われていて、なにもHSP入浴法に限った話ではありません。
身体を温泉で温めてがんが消えた、発熱後、抗がん剤も効かなかったがんが消えてなくなったなど、このHSPの発現の効果ではないかと考えられていて、その利用の研究開発が期待されています。
具体的に言うと、放射能泉の玉川温泉や三朝温泉ががんに効果があるのは有名ですが、こちらは放射線ホルミシス効果も加わるので、また別の機会にお話しさせていただきます。
疲れやだるさが減る?!HSP入浴法で疲れにくい体に
免疫力UP&代謝UPを期待する、HSPを多く発現させるには、体の芯まで温まる必要があります。
HSP入浴法とは以下のような手順になります。
湯温と入浴時間は40℃→20分、41℃→15分、42℃→10分。(炭酸系の入浴剤を入れた場合は、40℃で15分に短縮してもOK)4)
1.バスタオルと着替えは、すぐ手の届くところに置く
2.浴槽のふたを開けたり、床や壁にシャワーをかけ浴室内を温める
3.手、足、体(心臓に遠いところから)に、かけ湯をする
4.浴槽には、足から手、体の順にゆっくりと浸かる
5.湯に浸かりながら舌下で体温を計る。38℃まで上がるのが理想。
※お湯の温度目安/42℃→入浴10分、41℃→15分、40℃→20分
※血行促進作用のある入浴剤を使用の場合は、40℃→15分
6.入浴後は「10分~15分」保温する
※HSP入浴法で一番大切なところが、最後の保温時間です。
体温を37℃以上に保つことで、体内のHSPが増えるので、体の水分はしっかりふき取り、体が冷えないよう衣類を身に着け、冬は暖かい部屋で、夏は冷房をかけずに最低10分間、体を保温します。
水分補給には、冷たいドリンクを避け、常温、もしくは温かい飲み物で補います。冷たいドリンクは保温後に飲みましょう。2)
【研究報告】HSP70の発現と身体に及ぼす影響
HSPは、Hsp47ファミリー, Hsp60ファミリー, Hsp70ファミリー, Hsp90ファミリー, といくつか種類があります。詳細はこちらをご参考にご覧ください。
実は、詳細な機構については明らかになっていない部分があります。
【目的】
従来よりHSP入浴法の検討を重ね、健康維持にはHSP入浴法を継続し習慣化することが重要と考え、今回は、週2回のHSP入浴法を3週間継続し、HSP70の発現と体に及ぼす影響を検討した。
【方法】
20~60歳までの健常男性11人を対象に
HSP入浴法(入浴剤添加40℃の湯に全身入浴し、舌下温で38℃に到達後2分間入浴後、15分間保温)を週2回、3週間継続(計7回入浴)した。
各測定は、
HSP入浴1週間前、
入浴前、
1回入浴2日後、
4回入浴1日後、
7回入浴2日後、
7回入浴2週間後の5回実施した。
測定項目は、
体温、HSP70(リンパ球分画及び血漿)、NK活性*、血管弾性、握力テスト、POMS2**および自己疲労度チェック等実施した。
【結果】
体温はHSP入浴2分後38.39℃で最高であった。
リンパ球HSP70は、1回入浴2日後から7回2週間後まで、優位な増加を認めたが、血漿HSP70は優位に低下した。
HSP入浴期間中、右手握力及び血管男性は優位に増加し、その後回復した。
自己疲労チェック及び、POMS2の緊張は、HSP入浴2週間後まで低下を認めた。
【結語】
HSP入浴3週間の継続により、優位にリンパ球HSP70の増加を認め、握力の増加、血管弾性の増加など身体に良い効果を認めた。
危険マーカー指標とされる血漿HSPが優位に減少したことや疲労度、POMS2*緊張の低下から、精神的にも良い効果を認めた。
よって、HSP入浴の習慣化は身体のみでなく、生活の危険や精神的疲労の軽減等QOLの向上に有効と思われた。1)
NK活性*
ナチュラルキラー細胞活性化
POMS2**
Profile of Mood States 2nd Edition、被験者の気分や不安、うつ状態を評価することができる検査。
定評のある研究者の伊藤先生のご報告でしたが、体感でご存知の方、HSP入浴法をご存じだった方にも、科学的裏付けがあり、実際に疲労軽減などの効果が認められることが証明されていることをお知らせできればと思います。
ただ、ますます、入浴熱心になっていただく中でも、病気の時や、体調が悪い時に試すのは控えていただかないといけません。
以下のような注意事項も伊藤先生は公式サイトに掲載されています。
HSP入浴法の注意事項 2)
・心臓疾患など疾患のある方は、医師に相談してください。
・高齢者、体力の無い方は、半身浴でもかまいません。
・半身浴では、肩を冷やさないように、お風呂の蓋を首まで付けたり、肩カバーをしたり、時々首までお湯に浸かって肩を冷やさないようにする。
・冬は、高齢者に多い入浴事故に注意する。
1) 温度差対策
・浴室内を温めておく → 入浴前にお風呂の蓋をとり、浴室を温める
・浴室の床に湯をかけて温める。
・すぐに湯船に入らず、手、足、体(心臓に遠いところから)に、かけ湯をする
・湯船から出る時は、体についた水分をしっかり拭き取る。
(下着まで着て浴室から出ても良い)
体についた水分が蒸発するのに必要な気化熱が体から奪われるので、ぞくっと感じたり、冷えを感じたりする。
・着替えの部屋を暖めておく。
2) 家族に「お風呂に入る」と声かけをしてから入浴する。
・一人の場合は、タイマーをセットし、時間が分かるようにする。
3) 水分補給
・高齢者の場合、体の水分量(赤ちゃん80%、成人60%、老人50%)が少ない。
よって、大量の汗をかくと、脱水になる恐れがあるので、必ず水分補給をすること。
・高齢者の場合、1回に飲む水分量が少ないので、こまめに水分を補給する。
・入浴後の汗は、体温調節のため水分が多いが、大量の汗では塩分も失うので、スポーツ飲料などでも良い
上記にご注意いただければご安心して長風呂していただいて構わないということでした。
※効能は万人に対してその効果を保証するものではありません。
以上、今回は体感として実感しているものの、何を基準にその効果が科学的に証明されているのか知らなかったというような学会でのお話をさせていただきました。
これからも、温泉療法医としての目線で、健康づくりに役立つ様々な温泉医学情報をご紹介していきたいと思います。
セルフメディケーションの時代、ぜひ、日常にお役立ていただけましたら幸いです。
本日はご訪問・ご拝読頂き、誠にありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い致します。
1)第84回日本温泉気候物理医学会「超高齢社会における温泉医学」総会・学術集会
プログラム・抄録集
週2回のHSP入浴3週間継続によるHSP70の発言と身体に及ぼす影響
Effect of HSP bathing at 2 times per week for 3 weeks on the expression of HSP70 and physical condition
伊藤 要子、吉岡 涼介、石澤 太市、多田井 幸揮、綱川 光男
2)一般社団法人HSPプロジェクト研究所 所長 医学博士 伊藤要子 Official Site
https://www.youko-itoh-hsp.com/
3)熱ショックタンパク質 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/熱ショックタンパク質
4)【美人は『42℃』がキーワード】HSP入浴と洗顔で体の中からキレイになる!2018.02.17 VOCE
http://dnpa.s3.xrea.com/psy46.htm
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