トウガラシのカプサイシンレセプターは酸・熱にも反応する

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今回お話しさせていただく、カプサイシンレセプター、カプサイシン受容体TRPV1(Capsaicin Receptor TRPV1)が正式名称で読みは「トリップ・ブイワン」です。

最新の学会発表の要旨から興味を持った、カプサイシン受容体。

ここしばらくは学会発表も外出自粛要請に対応しているのか、面白くない。
先祖返りして、大学院時代に研究していた「神経生理」の領域のことを小ネタとしてご紹介致します。

こちらの発表も温泉医学の領域で、厳密には以下内容の1.当たります。
温泉医学、日本の発表はこちらのいずれかに該当します。
1. 温泉・水治療法、2. 東洋医学・物理療法、3. 生気象学、
4. リハビリ・運動医学、5. 健康増進、6. 内科・皮膚科、
7. 外科・整形外科、8. 補完代替医療、9. その他

2月の最新の学会誌から見つけました。TRPVは温熱受容体なので温泉と関係あります。

今回は特別発表とされていて、医学領域と薬学領域の研究発表があったようです。
(出席はしていなくて、へー。と外から見ているんですけどね。)

特に興味を持ったのですが、以前からずっと研究されていて、第一人者とされているのは富永真琴先生という細胞生理研究分野、鎮痛剤などの開発に役立つような領域を医学博士から出発されて、薬学領域、生理学と長年にわたってご研究されている方のようです。

ただ、私は富永先生について存じ上げておりませんでした。
よく、学会誌には載っていたのを目にしていて、ようやく、調べ始める…。

TRPV1ほか、温度感受性受容体の研究が進みTRPVチャンネルファミリーについてはいままでも日温気物医学会の学会では発表されていたようですね。

最初に、この学会誌記事を読んで新しいと思ったのは、
「カプサイシン受容体が温度に反応することを今回の学会誌を見るまで知らなかった」からです。

一般通念で、現在ではトウガラシの辛さと熱さに対する反応は、発汗することにより同意義に捉えられがちと想像するのですが、別です。

さらに言うと、トウガラシで脂肪を燃焼させ、ダイエットができるか?ということも研究されてはいますが、結局、証明されていません。ニセ医学の領域です。

トウガラシの辛さと痛いと感じる刺激と温度刺激を感じるのは別の問題で、どうして、同じイオンチャネルが開口しているのかはまだ、解明されていません。

気が付いたのは、純粋に神経生理を勉強していたから。

富永先生もこうおっしゃっています。

私たち、温度の研究をしているんですが、温度で、どうやってイオンチャネルが開口してるのかは、いまだに誰も、世界の誰も知りません。やはりそれは明らかにしたいというのが、まず一つであります。それから二つ目には、痛みの受容体として機能しているということは、そのチャネル機能を阻害することによって、鎮痛効果をもたらすことができるわけです。私たちがしているイオンチャネルの研究によって、将来的にこのイオンチャネルを阻害する、つまり、新たな鎮痛薬の開発につながればと思って、日々研究をしている次第です。

痛み刺激受容、温度受容の分子機構の解明に関する研究について

①TRPV1(トリップ・ブイワン)で痛みや温度刺激を感じるしくみ


痛み刺激や温度刺激を感じる分子は、最初に1997年に明らかになりました。

それはカプサイシン受容体、TRPV1という分子で、イオンチャネル型の受容体と考えられています。唐辛子の辛み成分カプサイシンの受容体(センサー)は感覚神経にあり、カプサイシン、43度以上の熱刺激、酸など複数の痛み刺激で活性化します。

TRPV1は陽イオンを通すチャネルで、活性化することによって細胞外から陽イオンが細胞内に流れ込むと、細胞の膜を隔てた電位差(膜電位)がプラスの方向に変化し、感覚神経が発火(興奮)します。

その信号が脳に伝わることで、私たちは「痛い(辛い、熱い)」と感じることができます。

カプサイシンが引き起こす痛みの増強メカニズム
−TRPV1活性化はアノクタミン1の活性化を引き起こす−


②TRPチャンネルファミリーとは?

カプサイシン受容体TRPV1は初めて分子実体が明らかになった温度受容体です。他、現在までに低温で活性化する受容体なども分子実態が明らかになっていおり、TRPチャンネルファミリーを形成しています。

TRPV1, TRPV2, TRPM3熱刺激受容
TRPV3, TRPV4, TRPM2, TRPM4, TRPM5温刺激受容
TRPM8, TRPA1, TRPC5冷刺激受容に関わります。

これらは、「温度感受性TRPチャネル」と呼ばれています。

43度以上、15度以下の温度は痛みを惹起すると考えられており、その温度域で活性化するTRPV1, TRPV2, TRPM3, TRPA1は侵害刺激受容体と捉えることもできます。

TRPV3, TRPV4, TRPM2, TRPM4, TRPM5は温かい温度で活性化して、感覚神経以外での発現が強く、皮膚を含む上皮細胞、味細胞、膵臓、中枢神経系等で体温近傍の温度を感知して、種々の生理機能に関わることが明らかになりつつあります。

大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所

唐辛子やハッカに反応するレセプターが温度も感知するのが面白いですよね。

 

 

③今回の学会発表

今回、目にした要旨は以下2件の発表に関するものです。

TRPV1 の気道・肺での局在と喘息モデル動物における発現変化
Localization of TRPV1 in the Respiratory Tract and Lung and Changes in the Expression in an Asthma Animal Model
渡邉 直人 1.2)
1) 横浜市立みなと赤十字病院喘息アレルギー内科 / 部長
2) 東京アレルギー・呼吸器疾患研究所/所長

TRPV1の消化管での局在と消化器病疾患モデル
動物における発現変化
Localization of Thermosensitive TRPV1 in Gastrointestinal Tracts and Its Change in Gastrointestinal Disease Model Animals
堀江 俊治1), 田嶋公人2)
1) 城西国際大学薬学部薬理学研究室/教授
2) 城西国際大学薬学部薬理学研究室/准教授

内容は要旨のみなので割愛致します。富永真琴先生の説明の方がみなさんには理解しやすいと思います。

トウガラシやミントのカプサイシン・メントールのほかにも、
ニンニクの辛味成分「アリシン」
ワサビの辛味成分「アリルイソチオシアネート」
シナモンの辛味成分「シナモアルデヒド」
オレガノの主成分「カルバクロール」
タイムの主成分「サイモール」
上記が活性化刺激となります。

モルモットのアレルギー反応の観察分析から軌道のアレルギー性炎症軌道病態での局在変化と機能に関する研究、病態時の消化管においてTRPV1が痛覚過敏・知覚過敏に関与し非常事態アラートを出している検証などなど。

最近では、薬学領域の健康食品に興味を持っていて、一般によくみる食品の刺激に関する受容体が温度も感知するというのが今、この時期にときめいた理由でしょうか?

単に食いしん坊で、空腹時にやたら気になったのかも…。

いずれにせよ、いくつになっても、学べることがあるのはありがたいと、温泉医学だけは続けています。


おわり

本日は、温泉医学の話から自分の専門領域だった神経生理に少し話が反れました。

こちらもご興味を持っていただければ幸いです。

これからも、温泉療法医としての目線で様々な温泉関連情報をご紹介していきたいと思いますので、また、お立ち寄りください。

本日はご訪問・ご拝読頂き、誠にありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い致します。


One Response

  1. タク
    |

    ちょいちょい拝見させていただき、
    勉強させていただいております。
    単なる温泉好きなだけで、
    難しいところは理解できませんが、
    それでも読みやすく記述頂きありがとうございます。
    今回のは、温度も同時に知覚するのは、
    何か不思議ですね。口に入るものなど命に関わることと言う括りなんでしょうね

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